あの日のハクビシン

つい先日、帰宅途中に夜の住宅地を歩いていた時のことです。
なんとなく目線を前方の斜め上に向けると、電線の上を器用にスイスイと歩く動物のシルエットが。
『猫?ではない!・・・ハクビシンかな?』

なんとか姿を確認しようと電柱に近づいたとき、私のことに気がついたようで、
こちらに顔を向けたまま、ピタッと動きを止めました。両者睨み合いです。
暗くてハッキリとは見えませんが、やはりハクビシンだなと私は確信しました。

家に着いたとき、先に帰宅していたパートナーにハクビシンと遭遇したことを話しました。
「電線を伝って歩いていたよ!」 そう私が言うと、「嘘でしょ。。」と真顔でつぶやきました。
それはありえない、とでも言うような、変な反応です。

「猫と同じくらいの大きさだし、慣れた感じだったよ?」と妙だなぁと感じつつそう言うと

「猫? 犬じゃなくって??」 とまたしてもおかしな反応。
あ、何かと勘違いしているな。と思った私は、スマホの画像検索でハクビシンの写真を探し、彼に見せました。
これでスッキリ解決!と思っていたら、そこから思わぬ方向に話が進んでいったのです。

写真を見た彼は、なんとも言えない表情で

「前住んでいたところで借りていた駐車場で、ハクビシンを見たって話し覚えてる?」と聞いて来たのです。

そう言われると、確かにそんな話があったことを私は思い出しました。
「そういえば前にそんなことあったね!それならわかるでしょ、ハクビシン。」
「俺が見たの、コリー犬くらいの大きさの生き物だったんだけど。。。」
「???」

彼の話を再現すると

その日は仕事で自分の車を使い、夜の23時頃に駐車場に着いたのだそう。(普段はバイク通勤)
疲れたな〜と、すぐに車から降りずに運転席でしばらくボーッとしていると、
白い、犬のような生き物が視界に入って来たのです。

『犬?でも犬じゃないような、、、 なにあれ??』

そのままとりあえず様子を伺っていると、
コリー犬より少し大きめで、フワフワした白い毛に覆われた動物が、
迷うそぶりもなく真っ直ぐにむかって来て、隣の車との間を通り過ぎていったのだそう。
ちなみに、車の中にいた彼には気がついていない様子だったそうです。
駐車場のすぐ裏手が大家さんのご自宅なのですが(木々が鬱蒼としている大きなお宅)
その敷地の中に入っていったとのこと。

そして帰ってすぐ私に話したのです。
(顔が)長くって、白っぽい、犬みたいな動物を見た!!と、
私は長い、白い、というキーワードから、ハクビシンじゃないか
と言ったのですね。
彼は、それっぽい名前に妙に納得して、そうか、あれがハクビシンか!と思い込んでしまった。

「そうか〜、あれはハクビシンじゃなかったんだね!
じゃあいったいなんだったの??」
『。。。。。。』

その時の話を詳しく聞くほどに、あれは動物ではなく、普通は目には見えない類の存在に思えました。

パートナーは、小さい頃から度々こういう不思議体験をしているタイプ。
私はそうした話を聞くたびに、羨ましいぞ!と思ってしまうのですが、
「 ”白い” っていうのが、なにか神聖な感じがするよね!」と いいな〜!のテンションで私がそう言うと、「目撃した時めちゃくちゃ怖かったんだけど、、、」と本人はぜんぜん嬉しくなさそうでした。。。

お互いに何年も勘違いしていたことが、
ふとハクビシンを目撃したことで新たな事実が発覚したという、変な時差のある不思議な出来事。

とくにそのあと何が起きたということもなく、
ただただ、あれは何だったんだ?というお話し。
オチがなくってごめんなさい。

日常と隣り合わせで、目に見えない世界は存在しているのだなぁという感動を覚えつつ、
不思議体験を求めすぎても、やっぱり引き寄せられないものなのだなと、毎年のように「UFOを見る」を一年の抱負に掲げている私は思ったのでした。

今年ももう無理かな。。。



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